野球日本代表「侍ジャパン」の井端弘和監督は、トップチームとU-15代表監督を兼任し、都内で月3回開催する「井端塾」を通じて、幅広い世代の選手の育成に取り組んでいます。井端監督の指導法とはいったい何を重視しているのでしょうか?
たくさん写真に収めたい子どものスポーツ。井端監督の考え・想いを聞きました。
(※2024年5月3日(金)朝日新聞朝刊の記事を参考に要約しています。)
目次
井端塾での指導哲学:子どもたちの成長を促す褒める指導法
野球日本代表「侍ジャパン」の井端弘和監督は、若手選手の育成にも熱心に取り組んでいます。「井端塾」では、野球の基本技術を教えながら、選手たちを積極的に褒めることで、楽しさややる気を引き出しています。飯塚智広氏と共に定めた褒める指導方針は、選手が自宅で教えられたことを反復練習することを促し、成長につながると考えています。また、井端コーチは正しいフォームへの修正にも注意を払い、野球を始めたばかりの子供たちにも丁寧な指導を行っています。井端塾には多様な背景を持つ子供たちが集まり、彼らが自由に伸び伸びと育つことを目指しています。
井端塾の指導哲学:基本から学ぶ子どもたちへのアプローチ
野球日本代表「侍ジャパン」の井端弘和監督は、トップチームの監督を務める傍ら、野球を始めたばかりの小学生にも目を向け、彼らのレベルに合わせた指導を行っています。井端監督は、子どもたちに技術を教えることの難しさを認識しており、プロ選手とは異なり、具体的な言葉で詳しく説明する必要があると感じています。また、塾生やその親からは高度な技術の指導を求められることもありますが、井端監督はまず基本的な野球の形を身につけることを重視しています。正しい基本が身につけば、体が成長するにつれて自然と技術のレベルも上がると考えています。焦ることなく、将来を見据えて選手たちの発展を支える井端塾の指導方法は、選手たちが基本に立ち戻る力を育てることにも繋がります。
井端塾の指導哲学:親を巻き込んだ共有型指導法
野球日本代表「侍ジャパン」の井端弘和監督は、井端塾での指導において、褒める指導を基本としながらも、必要があれば厳しく叱ることもあります。叱る際には、保護者も同席させ、子どもの態度や行動について明確な理由を示しながら意見を述べます。これにより、問題を親子で共有し、一緒に解決していくことを重視しています。井端塾は普及・振興活動として特例で許可されており、井端監督は子どもたちの成長を見守り、彼らが野球で輝ける未来を応援しています。また、井端監督は将来、教室を巣立った生徒が甲子園で活躍する姿を見ることを楽しみにしています。
子どもの自己効力感の育成とスポーツ指導の心理学
スポーツ心理学者の布施努氏によれば、子どもを指導する際には、「やればできるかもしれない」という自己効力感を育てることが非常に重要です。この感覚は特に就学前に育ちやすく、子どもが自分の達成に集中できる時期です。この段階では、親のポジティブな声掛けが効果的であり、「頑張ったね」と認めることが重要です。中学生になると、仲間からの評価が重要になり、過去と比較して「進歩した部分」を認識させることが役立ちます。例えば、以前できなかった動作ができるようになったことを具体的にほめることで、子どもは自己効力感を強く感じるようになります。また、叱ることの難しさも指摘されており、指導の中で子どもが正しい行動に気づけるよう導くことが推奨されています。
あいさつの重要性-小学生サッカーチームの学び
ある小学生のサッカーチームでは、子どもたちがあいさつを怠っていました。これを受けて、コーチは子どもたちを無視する方法を取り、練習後に子どもたちの感想を聞きました。「すごく嫌な感じがした」との声が上がりました。これをきっかけに、あいさつの意味について子どもたち自身に考えさせることにしました。すると、あいさつが「楽しみにしてきたよ」という気持ちを伝える手段であるという意見が出され、子どもたちはその重要性を理解しました。その結果、以後あいさつを忘れる子はいなくなりました。この経験は、子どもたちが自己効力感を育て、失敗しても前向きに挑戦を続ける大人に成長するための貴重な学びとなりました。