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増加傾向「ロマンス詐欺」に気を付けて!

2024/09/14プロポーズについて

the fat bride wears a necklace around his neck.

事件現場で取材を重ねても、容疑者や被告と直接対面して話を伺う機会は滅多にありません。被告本人の姿や声に接することができるのは、法廷の傍聴席にいる時です。
法廷では、有罪の立証を目指す検察官と、被告の権利を守る弁護人が対峙します。そのやり取りを通じて、被告や被害者の人生や、当時の社会情勢が垣間見えます。
直接会っていなくても、配偶者がいても、情熱的なプロポーズを受けて、頭の中は素敵な写真で一杯・・・
送られてきた写真は本人である保証はありません。他人の写真を無断で使用する悪質な例も多々あります。
SNSから始まったその恋愛・・・ちょっと待って!一歩引いて冷静になってください。
(※2024年8月10日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

アプリで始まった恋愛が犯罪の道へと導く

暗号資産取引を通じて、知らぬ間に資金洗浄に加担することとなった女性の物語です。
恋愛感情を抱かせて金銭を騙し取る「ロマンス詐欺」に引き込まれ、被害者となった彼女は、最初は約1,000万円を失いました。しかし、その後、新たな人物と出会ったことで詐欺グループの一員として活動することになり、法廷で裁かれることとなりました。
2023年4月17日、高松地方裁判所での初公判が開かれました。50歳の被告女性は黒のジャケットにスカートを着用し、髪を束ねた姿で出廷しました。傍聴席にはスーツ姿の夫も同席していました。
被告が関与したとされるのは、マネーロンダリング、すなわち資金洗浄です。被告は、自分の銀行口座に振り込まれた資金で暗号資産を購入し、それを他人に送金するという行為を2022年8月に4回繰り返しました。この行為により、犯罪によって得られた約300万円の出所を不明にしたとされ、起訴されました。
公判で検察官が起訴状を読み上げると、被告は「やってしまったことは事実です」と認めましたが、「犯罪収益を隠そうとした意図はありませんでした」とも主張しました。
この暗号資産に換えられた約300万円には、他のロマンス詐欺被害者のお金も含まれていました。
事件の背景や被害者が加害者へと転じていった経緯は、検察側の冒頭陳述や被告の証言を通じて明らかにされました。
被告には28年ほど連れ添った夫と2人の子供がいます。会社員として働きながら、時折一人旅も楽しんでいましたが、7年前に転職した職場での業務が過酷で、夫婦関係にも悩んでいました。
2022年、被告は言語交換アプリに登録しました。このアプリは、チャットなどを通じて知り合った人と互いに外国語を教え合うもので、英会話を始めるつもりだったことや「寂しさを紛らわすため」に利用していました。
ほどなくして、アプリを通じて知り合った「マイク」と名乗る人物たちにより、被告は計970万円を騙し取られました。実母やローン会社から借りたお金も含まれていました。同じ時期に、「ジャック」と名乗る別の男性ともアプリで知り合いました。「ジャックは詐欺に遭った時に相談に乗ってくれた。彼を信じ、マイクたちとの関係を断ち切ることができた。彼だけは違うと思っていた」と、被告は振り返ります。
2022年7月頃、ジャックから「アルバイトに興味はないか」との誘いを受けます。さらに「ローワー」と名乗る弁護士資格を持つ人物や、「サニー」という別の人物も紹介されました。彼らは繊維関係のビジネスをしているとだけ伝えられました。
指示通りに振り込まれたお金で暗号資産を購入し、指定されたアドレスに送るという作業を繰り返すようになった被告。
弁護人から「ジャックに恋愛感情があったか」と問われると、被告は「ありました。彼の役に立てることがあれば、やりたいと伝えていました」と答えました。また、「犯罪だとは思わなかったか」という問いに対しては「間違いなく、その作業に集中していました」と述べました。
しかし、彼らの本名や連絡先については「知りません」と答えました。

夫が気づけなかった心の隙間が招いた悲劇

2022年8月2日、香川県警小豆署から被告の元に電話が入りました。「あなたの銀行口座に振り込まれたお金は詐欺の被害金です。事情を聴くために署へ出頭してください」との警告でした。被告はその時の心境を振り返り、「ビジネスだと思っていたので非常に驚きました。警察から連絡を取るなと言われましたが、ジャックらに確認したところ『問題ない、出頭しなくていい』と言われました」と語ります。
被告の夫も、その異変に気づかないまま過ごしていました。8月15日、ローン会社や銀行からの封書が届き、不安になった夫は妻と話をしました。そこで初めて、詐欺に巻き込まれたことや「ビジネス」と称した活動のことを聞かされたのです。夫は妻に「すぐにやめて警察に行くように」と説得し、出頭させました。
警察の調査を経て、被告は2024年1月に逮捕されました。公判で弁護人から「今回の事件の原因は?」と問われた夫は「私が仕事に没頭し、妻の心の隙間を埋めることができなかったからだと思います」と答えました。また、「妻は休日に家族と共に過ごすことを望んでいた」とも述べ、現在は一緒に食事をし、休日にはコーヒーを淹れるなどしていることを語り、「二度と寂しい思いをさせないようにする」と反省の言葉を口にしました。
被告もまた、「初めは詐欺の被害者だと思っていましたが、加担する立場になり申し訳ない」と反省の意を示しました。検察は懲役2年と罰金100万円を求刑しましたが、裁判官は「詐欺の被害金を使って悪質な行為を行ったが、被害を弁償している」として、懲役2年執行猶予4年と罰金100万円を言い渡しました。
裁判官は最後に、「今後再犯を防ぐためには、あなた自身が自分の心と向き合うことが重要です。あなたが心のよりどころを求めた人たちは、今あなたの周りにはいないことを理解してほしい」と語りかけました。被告は、真剣な表情で裁判官の言葉に耳を傾けていました。その日も傍聴席には、夫の姿がありました。
判決は控訴されることなく確定しました。

被害者を狙う「リカバリー詐欺」にご注意を

SNSを利用したロマンス詐欺が深刻な問題となっています。警察庁が今年3月に発表した全国データによれば、2023年だけで被害件数は1,575件、被害総額は約177億円に達しました。特に今年に入ってからの増加が顕著で、1月から3月の間に確認された被害件数は603件、被害額は約60億円に上ります。
国際ロマンス詐欺の被害者を支援する千葉県の団体CHARMS(チャームス)の代表、新川てるえ氏は、「詐欺師の手口は巧妙で、被害者を巧みに操る。SNSで知り合った相手と金銭のやり取りをする際には注意が必要です」と警告しています。
新川氏によると、詐欺グループは一度だました相手をリストに記録し、他の詐欺師が次々と接近してくることがあるそうです。特に被害者の心の傷につけ込み、「加害者の調査をしてあげる」「被害金を取り戻す」と持ちかけて、最終的には金銭を要求する手口が広がっており、これはアメリカで「リカバリー詐欺」と呼ばれています。
今回のケースについても、「リカバリー詐欺に類似した手口が使われた可能性があり、被害者を狙い撃ちにしたのかもしれない」と新川氏は分析しています。さらに、海外では恋愛感情を利用して金や薬物の運搬をさせることも一般的で、「これらの手口が日本にも広がっている可能性がある」と指摘しています。
新川氏は、詐欺グループに知られたSNSアカウントや電話番号、メールアドレスなどの個人情報をすぐに変更するよう助言しています。「一度被害に遭うと、2~3年後に知らない人から再び連絡が来て、再度被害に遭うこともあります。手口を知り、自分を守ることが大切です」と強調しています。
団体への相談は、メール(soudan@npo-charms.org)またはLINE(@799sdpbp)で受け付けています。