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マイナー競技からメジャー競技へ。変革を遂げる近代5種

2025/04/14スポーツと写真

※画像はイメージです。

 

全国での競技人口が約50人とされる近代5種は、これまでマイナー競技と見なされてきました。しかし、いま人気が広がる大きなチャンスが訪れています。
海外ではとても注目され、カメラを向けられることが多い競技。日本もそうなればいいですね。
(※2024年12月25日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

近代5種に新風!パリ五輪メダルと「オブスタクル」で注目

昨年夏のパリ五輪で、日本勢初のメダリストが誕生しました。
さらに、人気テレビ番組から着想を得た新種目が話題を集めています。
2024年11月に愛知で開催された全日本選手権には、男女あわせて約30人が出場し、多くの選手にカメラが向けられました。
取材に訪れた報道陣の数は、選手を上回るほどでした。
なかでも注目されたのが、新種目「オブスタクル」です。
この競技は、TBS系で1990年代から放送されている「SASUKE」をモチーフにした障害物レースです。
つり輪や高さ3.5メートルの反り立つ壁など、全8種類の障害物が62メートルのコース上に設置されました。
優勝したのは、これまで近代5種の競技経験がない41歳の初挑戦者でした。
彼は「SASUKE」の常連メンバーであり、その経験を活かして見事な勝利を収めました。

近代5種、新時代へ。馬術から「オブスタクル」へ?

近代5種は、これまで馬術・フェンシング・水泳・レーザーラン(射撃とランニングの複合)の競技で構成されていました。
しかし、2028年ロサンゼルス五輪に向けて、馬術に代わり「オブスタクル」が導入されることになりました。
その背景の一つには、2021年の東京五輪での出来事があります。
ドイツ代表の指導陣が、騎手の指示に従わない馬を叩く場面があり、これがSNSなどで「虐待」と批判を浴びました。
競技のイメージが悪化し、五輪種目から外される可能性を懸念した国際近代5種連合(UIPM)が、種目変更に踏み切ったのです。

オブスタクルと近代5種の変革

馬術は、コストの高さや練習環境の格差が大きいことが以前から課題として指摘されていました。
オブスタクルへの変更について、ある競技関係者は「馬術の静寂とは異なり、オブスタクルは観客を盛り上げる要素があるはずです。見栄えも良く、スポンサーの支持も得やすいでしょう」と語っています。
日本近代五種協会によると、オブスタクルへの変更が決定してから、西アジア・アフリカ・南米などで大会への出場国が増えているそうです。

佐藤大宗選手の銀メダルが追い風に

日本では、近代5種にさらに追い風が吹いています。
昨年8月のパリ五輪で、自衛隊所属の佐藤大宗選手が銀メダルを獲得しました。
近代5種が五輪競技となってから112年の歴史の中で、日本勢初のメダリストとなったのです。
「このメダルは自分だけのものではなく、近代5種に関わるすべての人のメダルだと思っています」と語る佐藤選手は、各地のイベントで来場者にメダルをかける活動を続けています。
日本近代五種協会の迫山幸一事務局長は、「佐藤選手の活躍とオブスタクル導入の影響は大きいです」と話します。
協会への「競技を始めたい」という問い合わせは、五輪前の約3倍に増加しました。
また、競技者や指導者を含む協会員の数も、昨年11月時点で約250人から約300人に増えています。

オブスタクル導入の影響と練習環境の課題

一方で、急な競技変更に戸惑う声も聞かれます。
全日本選手権で入賞したある選手は、「競技を続けるべきか悩んだ」と話しています。
また、ある関係者は「経験がものを言う馬術があったからこそ、ベテラン選手も若手と互角に戦えました。
しかし、オブスタクルが導入されると若手が有利になるのではないか」と指摘しています。
練習環境の整備も大きな課題です。
国内でも有数の設備を持ち、10人以上の選手が所属する自衛隊体育学校では、監督自らホームセンターやネット通販で単管パイプなどの器具を探し、練習設備を整えました。
一方で、十分な練習スペースを確保できない個人選手は、自宅に単管パイプを設置したり、アスレチックのある公園を活用したりして練習しています。
また、協会は全日本選手権に合わせて、国際近代5種連合(UIPM)から正式なセットを約1,000万円で購入しました。
しかし、予算の都合上、追加購入は難しい状況です。そのため、今大会で使用したセットを千葉県に常設し、選手が利用できるようにする方針です。