来年、100周年を迎える東京六大学野球リーグの歴史は、常に応援団とともに歩んできました。ブラスバンドを使った伝統的な応援スタイルは今も受け継がれていますが、「硬派な男社会」というイメージは徐々に変わりつつあります。今年、立教大学では初めて女性の団長が誕生しました。
これはぜひ写真に収めたい!そう感じるのは私だけではないでしょう!
(※2024年6月12日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
女性が切り開く新たな時代:立教大学応援団の変革
団長に女性が就任!
「フレー!フレー!」。5月14日に神宮球場で行われた明治大学対立教大学の試合では、試合前後のエール交換で、両校の応援席から響く力強い声がこだましました。この日、両校の団長を務めたのはどちらも女性で、学ランや袴ではなく、黒のパンツスーツに身を包んで指揮を執っていました。
立教大学の第93代団長を務めるのは、4年生の望月蒼生さんです。「団員にとって遠い存在ではなく、安心感を持ってもらえる存在でありたい」と語る望月さんは、旧来の上意下達のスタイルではなく、同級生や下級生の悩みに寄り添うことを大切にしています。
立教大学の応援団は、リーダー部、チアリーディング部、吹奏楽部の3つの部門で構成されています。特に規定はありませんが、これまで団長は主に男性だけで構成されてきたリーダー部から選ばれることが多かったといいます。
女性が団長に就任した背景には、ここ10年ほど続くリーダー部員の減少があります。厳しい練習や伝統が敬遠されたためか、1学年に1人だけの年もありました。そのうえ、コロナ禍で2021年の新入生歓迎会が中止となり、同期のリーダー部員が入部しませんでした。そこで、チア部でリーダーシップを発揮していた望月さんが団長に選ばれたのです。
変化は団長にとどまりません。リーダー部員不足を解消するため、2022年からは女性の入部が解禁されました。早稲田大学では2011年に六大学初の女性リーダーが誕生していましたが、立教大学では今回が初めてです。現在、3年生のリーダー部員は全員女性です。
そのうちの一人である林田萌恵子さんは、学ラン姿で声をからす先輩の姿を見て「新しいことに挑戦したい」と思ったそうです。「どんな状況でも選手を応援する気持ちは、男女を問わず共通です。学生の今しかできないことに全力を尽くしたい」と語っています。
性別を超えたリーダーシップ:明治大学応援団の進化
特別な意識はありません--
一方で、明治大学では、女性団長や学ランを着た女性リーダーが少し前から活躍しています。立教大学と同様に、応援団全体としては女性が多いものの、これまでは男性リーダーが団長になるのが通例でした。しかし、リーダー不足やジェンダー平等の重要性を背景に、性別や所属部門に関わらず、トップを選ぶべきだという声が高まってきました。こうした流れの中で、2017年に六大学初の女性団長が誕生しました。
今年度の団長を務めるのは、チア部の前田知咲さん(4年)です。彼女は「先輩方が作り上げてくれた伝統のおかげで、女性団長や女性リーダーが特別だと感じることはありません」と語ります。
2019年の春には、応援指導班として大学初の女性リーダーが誕生しました。それ以来、毎年のように女性リーダーが加わり、性別に関係なく、厳しいトレーニングメニューをこなしています。
菅谷康徳監督は次のように述べています。「選手やお客様がどんなに厳しい状況でも、明るく前向きに取り組む姿勢を見せる。それが我々の伝統です。この伝統を、時代の変化に合わせて進化させながら、次の世代に伝えていきたいと考えています」
変わりゆく大学応援団:女性団長の増加と背景
「バンカラ」求む学生の減少?
大学応援団に詳しい追手門学院大学の吉田佳世准教授(社会人類学)は、女性応援団長の誕生が全国的な傾向であり、2010年前後からその動きが広がっていると指摘します。背景には、応援団内での女性比率の増加があります。「バンカラ」的な応援団を求める男子学生が減少し、どの大学の応援団でも男性リーダー部員の確保が難しくなっているのが現状です。
これまで女性団長が少なかった理由について、吉田准教授は、大学が戦前から戦後しばらくの間、主に男性が通う場所であったことが影響していると考えています。そのため、応援団も男性的な組織として形成されてきましたが、時代とともに女性がその中に参入していった経緯があるのです。
東京六大学野球リーグで女性が初めて応援に参加したのは、1960年の早慶戦であったと言われています。慶応大学が新たな応援スタイルを示すため、バトントワラーを務める慶応女子高の生徒をステージに招いたのが始まりでした。1963年には明治大学が六大学で初めてバトン部を創設し、そこからバトンやチアリーディングといった女性応援部門が広がっていきました。近年では、男性リーダー部員の減少を受けて、女性リーダーへの門戸が開かれるようになっています。
次世代を担うかっこいい女性リーダー達。これからもたくさん写真に収めたいですね。