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SNS上での巧みな愛情表現…要注意「ロマンス詐欺」

2024/11/17ウェディングフォトについて

近年増えているSNSを使ったロマンス詐欺。相手の顔が見えず、声も聞けないがために、想像力だけが勝手に良い方向に広がってしまい、詐欺にあった、という事例もあるようです。
最近は海を越えて国際ロマンス詐欺も増えているとのこと。皆さん要注意です。
(※2024年8月10日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

アプリでの出会いが招いた資金洗浄の共犯、被害者から加害者へ

アプリを通じて知り合った相手との交流は、恋愛感情を利用してお金を騙し取る「ロマンス詐欺」の入り口でした。当初は被害者として1,000万円近くを騙し取られましたが、新たに出会った人物によって詐欺グループに関与し、結果的に法廷に立つことになりました。

4月17日、高松地方裁判所での初公判が行われました。被告である50歳の女性は、黒のジャケットにスカート姿で、髪を束ねていました。傍聴席にはスーツ姿の夫の姿も見られました。

彼女が関与したとされるのは、マネーロンダリング(資金洗浄)です。自分の銀行口座に振り込まれた資金で暗号資産を購入し、それを他の人物に送金するという手口で、2022年8月に4回繰り返されました。これにより、約300万円の不正資金の出所を隠蔽したとして罪に問われました。

検察官が起訴状を読み上げると、被告は「やってしまったことは事実です」と認めつつも、犯罪の利益を隠そうという意図はなかったと主張しました。この300万円には、別のロマンス詐欺の被害者のお金も含まれていたとのことです。

被害者であった彼女が、どのようにして加害者へと転じてしまったのか、その経緯を公判の中で検察の陳述や被告の証言をもとに辿ることができます。

言語交換アプリで始まった試練、信頼と詐欺のはざまで

被告には、結婚して約28年になる夫と2人の子どもがいます。会社員として働きながら、休日には一人旅を楽しむこともありました。しかし、7年前に転職した先の仕事は非常に過酷で、夫婦関係においても悩みを抱えていました。

2022年、被告は言語交換アプリに登録しました。このアプリは、知り合った人とチャットを通じてお互いに外国語を教え合うもので、英会話を始めたいという気持ちや「寂しさを埋めたい」という理由から利用していました。

ほどなくして、「マイク」と名乗る人物たちに出会い、彼らから総額970万円を騙し取られることになりました。実母やローン会社からも借金して工面したお金でした。

同じ時期、別の言語交換アプリで「ジャック」と名乗る人物と出会いました。彼は、被告が詐欺に遭った際に相談に乗り、彼女を「マイクたち」から引き離してくれたため、信頼していたのです。「ジャックは他の人たちとは違う」と思っていました。

そんなジャックから、2022年7月ごろ、「アルバイトに興味はないか」との提案がありました。「ローワー」と名乗る弁護士資格を持つ人物や、「サニー」と呼ばれる別の人物も紹介され、彼らの仕事は繊維ビジネスに関するものだと聞かされました。

被告は彼らの指示に従い、振り込まれたお金で暗号資産を購入し、指定されたアドレスに送金する作業を繰り返すようになりました。

弁護人からの質問に対し、被告はジャックに対して恋愛感情があったことを認め、「彼の役に立てることがあればやりたい」と考えていたと答えました。また、犯罪だとは思わず、作業に集中していたと述べています。彼らの本名や連絡先については一切知らなかったとも証言しました。

妻の異変に気づかなかった夫、詐欺事件の発覚と逮捕までの経緯

2022年8月2日、香川県警小豆署から突然の電話がありました。「あなたの銀行口座に振り込まれたお金は詐欺の被害金であり、事情を聴きたいので署へ出頭するように」という警告でした。

被告はその当時を振り返り、「ビジネスだと思っていたので、とても驚きました。警察にはジャックらと連絡を取るなと言われましたが、『これは事実ですか?』と彼に尋ねてしまいました。すると、彼は『ビジネスのトラブルなので問題ない、出頭しなくていい』と言われたんです」と証言しました。

その後も、小豆署から何度も電話がかかってきましたが、被告は応答しなかったといいます。その間、近くにいた夫は妻の異変に気づけませんでした。

弁護人の「いつ犯罪に気づいたのか」という質問に対し、夫は「2022年8月15日です。ローン会社や銀行から多くの封書が届いていて、何が起きているのか不安になり、妻に話を聞きました。すると、彼女はマイクらから詐欺に遭い、その際に借金をしたこと、そして別に『ビジネス』をしていることを話しました」と述べました。

夫は「犯罪に巻き込まれているから、すぐにやめて」と妻を説得し、警察署へ出頭させました。その後、警察の裏付け捜査が進み、被告は2024年1月に逮捕されました。

心の隙間が招いた悲劇と夫婦の再生、裁判で示された再出発への道

弁護人が「今回の事件の原因は何だと思いますか」と尋ねると、夫は「私が仕事ばかりで、妻が心の隙間を埋めるようにこうした行動を取ってしまったのだと思います」と答えました。

さらに、弁護人が「被告は家族で何気なく休日に外出することを望んでいた」と述べると、夫は「今では深く反省しています。現在は一緒に食事をし、休日にはコーヒーを入れています。もう二度と妻が寂しい思いをして過ちを犯さないように努力していきます」と語りました。

その後、反省の言葉を求められた被告は口を開き、「初めは自分が詐欺に遭った側だと思っていましたが、結果として加担してしまい、本当に申し訳ありません。私自身が心の隙間を作ってしまったのが原因です」と述べました。

検察側は、懲役2年と罰金100万円を求刑しました。

5月9日の判決公判で、裁判官は「詐欺被害金を用いて悪質な役割を果たした点は看過できません。あなたの身勝手な願望、つまり信じたい、嫌われたくないという思いから犯行に至ったことは強く非難されるべきです。しかし、すでに被害弁償が行われていることを考慮します」とし、懲役2年、執行猶予4年、罰金100万円の判決を言い渡しました。

最後に、裁判官は被告に「再犯しないためには、あなた自身が自分の心と向き合うことが重要です。あなたが頼りにした人たちは今、あなたの周りにはいません。そのことを深く考えてほしい」と語りかけました。被告はまっすぐ前を見つめ、静かにその言葉を聞いていました。その日も、傍聴席には夫が寄り添うように座っていました。

弁護側と検察側の双方が控訴せず、判決は確定しました。

被害者を狙う「リカバリー詐欺」の脅威、詐欺被害からさらに追い込まれるリスク

SNSを利用したロマンス詐欺の被害が深刻さを増しています。警察庁が3月に発表した全国データによると、2023年だけで被害件数は1,575件、被害総額は約177億円にのぼります。今年に入ってからも増加傾向が続き、1~3月の間に確認された被害は603件、被害額は約60億円となっています。

国際ロマンス詐欺の被害者支援を行う団体「CHARMS(チャームス)」(千葉県)の代表である新川てるえさんは、「詐欺師は巧妙に被害者をマインドコントロールします。SNSで知り合った相手と金銭のやり取りがある場合、警戒してください」と注意を呼びかけています。

新川さんによれば、詐欺グループは被害者をリスト化していると考えられ、一度詐欺に遭うと他の詐欺師が再度接触してくるケースも多いとのことです。特に、「加害者の調査をしてあげる」「被害金を取り戻す」といった名目で近づき、最終的には再び金銭を要求する手口が増えており、これは米国で「リカバリー詐欺」と呼ばれています。

今回のように、被害者が知らないうちに犯罪に加担させられたケースについても、「リカバリー詐欺に似た手口だと思われ、被害者が狙い撃ちにされた可能性がある」と新川さんは指摘しています。さらに、海外では恋愛感情を利用して金銭や薬物の運搬をさせる手口も一般的であり、日本でもそのような詐欺が広がっている可能性があると警戒を呼びかけています。

新川さんは、被害に遭った際にはSNSのアカウントや電話番号、メールアドレスなどの個人情報を速やかに変更することを勧めています。「一度被害に遭うと、数年後に再び知らない相手から連絡が来て、再度詐欺に巻き込まれることもあります。詐欺の手口を知り、自己防衛の意識を高めてください」と強調しています。

相談は、団体のメール(soudan@npo-charms.org)またはLINE(@799sdpbp)で受け付けています。